中小企業診断士第1次試験、独学で一発合格!
中小企業診断士試験第1次試験に独学で一発合格したので、この記事にその合格体験記を備忘録としてまとめることにします。この記事では、第1次試験の合格を勝ち取るまでの勉強時間や勉強方法・手順、利用した参考書・問題集など、おそらく受験生が知りたいであろう情報も網羅的にまとめていますので、今後の中小企業診断士試験の勉強にぜひ役立てください。また、この記事の末尾には、著者が合格するまでの進捗状況や当時の心情を綴った記事のリンクも貼付しているので、必要に応じて参考にしてもらえればと思います。
独学にしようと考えた理由
まず第一に記載しておくべきである、独学にしようと考えた理由についてです。著者が中小企業診断士試験を独学で受験した理由は、著者は大学受験をはじめとした受験において、塾や予備校には通っておらず、独学で合格を勝ち取りました。その独学に対するプライドや自分で一から勉強の計画を立てる楽しさから、この中小企業診断士においても独学で合格することを決意しました。幼少の頃から、著者は独学体質であったということが大きな理由ですね。
合格までにかかった費用
合格までにかかった費用は、57,090円 (税込) でした。その費用の内訳は、独学なので第1次試験の試験受験料 13,000円 (税込) と対策用の参考書代 40,824円 (税抜)のみですね。受験生ならば誰でも、少なくともこれだけの費用はかかるのかなと思います。逆から言えば、最小限のコストで合格を勝ち取ったものとも考えられます。この費用は、試験免除の『経営情報システム』を含むだけでなく、定価で計算しているため、実際に支払った金額は、10,000円ほど安いです。
受験結果について
各科目の自己採点結果
平成28年度中小企業診断士試験第1次試験を受験した自己採点結果が、以下の一覧表です。科目別としては、残念ながら60%を超えることのできなかったものもありますが、科目全体としては60%を超えていることから、第1次試験合格となりました。なお、試験科目の一つである『経営情報システム』は、試験免除のため、科目合格点60点として掲載しています。
試験科目 | 得点(点) | 科目合格 |
経済学・経済政策 | 68 | 合格 |
財務・会計 | 68 | 合格 |
企業経営理論 | 66 | 合格 |
運営管理 (オペレーション・マネジメント) | 58 | 不合格 |
経営法務 | 60 | 合格 |
経営情報システム | 試験免除 (60点換算) | — |
中小企業経営・中小企業政策 | 63 | 合格 |
合計点 | 443 | |
平均点 | 63.3 |
合格証明書の写し
以下の写真は、中小企業診断士試験第1次試験の合格証明書を撮影したものです。なお、個人情報が記載されている箇所については、加工して消しています。
勉強時間について
勉強期間と勉強時間
中小企業診断士第1次試験の勉強を開始したのは、第1次試験が実施される8月上旬の約7ヶ月である1月です。具体的な一日の勉強時間としては、平日は一日1時間程度、休日・祝日は一日3〜4時間程度を確保していました。しかし、『証券外務員試験 第1種・第2種』や『日商簿記検定 3級 / 2級 / 1級』など、ほかの資格試験の勉強もしていたため、全ての時間を中小企業診断士試験に割いていたわけではありません。参考までに、著者は、月間残業時間が20時間程度の社会人であるため、基本的には平日は勉強時間1時間を確保することしかできませんでした。その代わり、勉強時間は休日・祝日に確保しました。
全体的な勉強時間としては、だいたい合計で250時間くらいでしたね。結果的には、各科目に対して均等に時間を割り振っていたので、各科目については、勉強時間40時間ほどでしょうかね。この短時間で合格を勝ち取れたのは、前もって勉強していた関連資格の存在と後述の機械的な学習プロセスへの落とし込みによるものであると考えています。
勉強時間の短縮方法
自分は、国家資格である『応用情報技術者』合格者なので、試験科目『経営情報システム』は試験免除であり、『日商簿記検定3級』合格者 (※ 1級までは勉強済み)、『ビジネス実務法務検定3級』合格者 (※ 2級までは勉強済み) です。改めて調べてみると、中小企業診断士試験の勉強時間は、1,000時間〜1,500時間と言われていますが、標準勉強時間よりも短い時間であることはまず間違いありませんので、その点はあらかじめご了承ください。
なお、中小企業診断士試験の出題内容に関連のある資格試験については、以下の記事に一覧としてまとめていますので、興味のある人は併せて確認してみてください。これら関連資格の勉強をあらかじめしておくことで、第1次試験の勉強がスムーズにはかどります。実際に自分もそのことは実感しており、その結果が上記の勉強時間です。
勉強方法について
利用した参考書について
スピードシリーズ
勉強方法としては、TAC出版の中小企業診断士試験対策として定評があり、多くの受験生が利用しているスピードシリーズ関連のみを利用していました。スピードシリーズ関連は、以下の一覧表のように、それぞれの科目ごとに『スピードテキスト』、『スピード問題集』、『第1次試験過去問題集』の全部で3種類が刊行されています。また、各科目の要点をまとめた『ポケットテキスト』もあります。ちなみに、著者は、試験免除である『経営情報システム』以外、全ての科目、全てのスピードシリーズを購入しました。
スピードシリーズの一覧:
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全科目の参考書・問題集を購入すると、たとえば、試験免除科目がない場合には、7科目 × 3冊 = 21冊となり、書店からのお持ち帰りにはかなり苦労するので、自分はアマゾンで購入しました。通販でまとめて買ってしまうのがやはりオススメですね。なお、以下のリンクには、スピードシリーズ最新版を貼付していますので、どんなものか知りたい場合には、ぜひご確認ください。また、これらのスピードシリーズに対する著者のレビュー・感想については、以下の記事をご覧ください。このスピードシリーズの「どこが良いのか?」「最新版の刊行日はいつなのか?」などを具体的な情報を交えたうえで、簡潔にまとめています。
中小企業白書 / 小規模企業白書
『中小企業白書』 / 『小規模企業白書』は、中小企業庁が国会に年次で提出している報告書です。この報告書をもとにして、試験科目『中小企業経営・中小企業政策』は出題されています。『スピードテキスト』やそのほかの出版社の参考書は、もちろんこの膨大な量の白書の内容全てを完全に網羅しているわけではありません。その理由は、『中小企業白書』それだけでも、500ページほどあるからです。そのため、自分は、本試験前にあらかじめ一通り目を通しておきました。自分は、時間が十分に確保できなかったため、『中小企業白書』のみを読むことになりましたが、時間があるならば、『小規模企業白書』も目を通しておいたほうがもちろん良いと思います。以下のリンクには、各種白書の最新版を貼付していますので、ぜひ内容をご確認ください。なお、この『中小企業白書』 / 『小規模企業白書』は、中小企業庁の公式サイトから、PDF形式で無料でダウンロードすることが可能です。
勉強手順について
まず、この勉強手順を読む前に、『スピードテキスト』や『スピード問題集』は、何周も読むことになることを念頭においてください。全科目のテキストを一度読んだだけで頭に入るほど、人間の記憶力・理解力は高くはありません。自分の経験上、『スピードテキスト』は少なくとも3周は読み回すことになると思います。
そのことを前提に、この記事を読み進めてもらえればと思います。では、自分の勉強方法について、時系列的にまとめていきますね。
1周目: 大枠を掴むこと
まず、全科目の『スピードテキスト』を一通り読みました。このとき、『スピードテキスト』内に掲載されている練習問題は解いていません。試験科目ごとに膨大な量の文字情報を読むことになるため、試験対策上モチベーションの維持がもっとも重要になります。この1周目の『スピードテキスト』では、各科目の詳細にまでは踏み込まずに、大枠を把握することに注力しました。そのため、読み進めるうえで、以下のことをしていきました。
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一通り『スピードテキスト』を読み終えたら、『スピードテキスト』を読み終えた科目から、順次『スピード問題集』の問題を解き始めました。なぜならば、ひたすらテキストを読み続けることはどうしても疲れてきます。また、ひたすら問題集の問題を解き続けることもどうしても疲れてしまいます。そのため、『スピードテキスト』と『スピード問題集』を同時に進めることがベストであると考えたからです。なお、『スピード問題集』を解くうえでは、以下のことをしてきました。
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科目ごとに『スピード問題集』が徐々に終わってきたら、出遅れている他の科目の『スピードテキスト』と『スピード問題集』に重点的に取り組みます。全ての科目の『スピードテキスト』と『スピード問題集』が終わるタイミングをここで一度揃えておきます。
2周目: 知識の定着と理解力向上
全科目の一周目の『スピードテキスト』と『スピード問題集』が完了したら、『スピードテキスト』の蛍光ペンでマーキングした重要なキーワード・キーフレーズを中心にもう一度読み直しました。また、このとき、読み飛ばしてきた難しい論理の理解やコラムなどの細かい知識の吸収にも努めます。もちろん、新しく読んだ箇所で、重要なキーワード・キーフレーズがあった場合には、蛍光ペンでマーキングしておきます。『スピードテキスト』を2周読むと、『スピード問題集』でも確認していることもあり、ある程度は頭で理解した気になれます。この段階までくれば、あとは追い込みの作業になります。
次に、2周目の『スピードテキスト』が完了した科目から、2周目の『スピード問題集』を解き始めます。2周目の『スピード問題集』では、以下のことをしてきました。
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2周目の『スピード問題集』が完了したら、全ての科目が完了するように同期をとります。この時点で、全科目の『スピードテキスト』が2周ずつ、『スピード問題集』が2周ずつ完了している状態にします。
3周目: 重要事項の暗記
『スピードテキスト』の蛍光ペンをした重要なキーワード・キーフレーズのみを重点的に確認しました。ここで、『スピードテキスト』に記載されている覚えなければならないことも、能動的に覚えていくようにしました。少しは頭に染み付いているので、膨大な量でも、ぐっと覚えやすくなります。
3周目の『スピードテキスト』が終わったら、3周目の『スピード問題集』に移ります。2周連続で間違えた問題のみに取り掛かりました。また、このとき、解説の蛍光ペンでこれまでマーキングしてきた箇所全てを読み直しました。ここでは、あまり時間をかけることなく、3周目が完了しました。『スピード問題集』は、これで完了になります。あとは、適宜参照するためだけに利用しました。
第1次試験過去問題集に着手する
『スピードテキスト』と『スピード問題集』がともに3周目が完了した段階で、『第1次試験 過去問題集』に取り掛かりました。最新の年度から順に解いていきました。このとき、以下のように解いていきました。
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『第1次試験 過去問題集』の2年分の過去問を解き終えた科目から、間違えた問題の解き直しを始めました。これは、ただ単に時間がなかったためです。このイタチごっこを過去問5年分が完了するまで繰り返しました。そのため、この時点で、『第1次試験 過去問題集』が2周完了したことになります。ここで、覚え切れていない残りの論点が浮き彫りになることと思います。自分は、『スピードテキスト』を用いて、残りの論点の暗記をしました。
第1次試験の合格体験記
中小企業診断士試験第1次試験に合格するまでの、著者の生々しい進捗状況や受験の心情を定期的にまとめてきた記事を、以下に一覧としてまとめてみました。独学という選択肢を採る受験生の多くは、おそらく周りに受験仲間がいないことが多いと思います。自分の経験上、独学での勉強はかなり辛い闘いになります。「自分の今の進捗状況で間に合うの?」とか「過去問の採点結果はどのくらいが良いの?」とか、基準が全くなく不安に襲われるためです。以下に掲載している記事が、これから受験する人のペースメーカーになれば幸いです。むしろ、そのことを目的として当時の進捗状況や生々しい心情を併せて記載しているので、参考になることも多いと強く自負しています。
なお、この第1次試験において、結果的に合格はしたものの、自分は勉強時間が不足していたと感じていたので (本試験でテキストに載っている基本的な問題を間違える / 覚え込みが不十分など)、個々の記事投稿日の数ヶ月前に、皆さんの置かれている状況と比べるようにして読むと、ひじょうに効果的であると思います。ただ、最初の記事は、『スピードテキスト』などにすでに着手した後の記事となっているため、最初の記事だけは、この記事と併せて、あるいは早い段階で読んでおいた方が良いかもしれません。
掲載日 | 記事タイトル |
2016年04月30日 | 中小企業診断士、独学の勉強方法で合格を目指す①〜GWはもっぱら試験対策〜 |
2016年05月06日 | 中小企業診断士、独学の勉強方法で合格を目指す②〜GW後は本試験&TAC公開模試申込み〜 |
2016年06月01日 | 中小企業診断士、独学の勉強方法で合格を目指す③〜5月までの振り返りと6月以降の試験対策~ |
2016年07月05日 | 中小企業診断士、独学の勉強方法で合格を目指す④〜本試験まであと残り1か月〜 |
2016年08月03日 | 中小企業診断士、独学の勉強方法で合格を目指す⑤〜ついに今週末!第1次試験前の準備・報告〜 |
2016年08月07日 | 中小企業診断士、独学の勉強方法で合格を目指す⑥〜第1次試験が終了!受験の感想と結果〜 |
参考
今後の受験生がこの記事を参考にするときに、おそらく著者のスペックも考慮する必要があると思いましたので、著者のスペックを、以下のページにまとめました (後日更新予定)。