日本語の丁寧な表現
皆さんもよくご存知のように、われわれが日常的に使っている日本語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語という表現があり、それらを上手く使い分けることによって、『自分より立場の高い偉い人』や『自分より年齢の高い目上の人』に対して、丁寧な言葉遣いを表現することができます。
たとえば、以下のような具体例のように、誰かにある物事を依頼するときには、その話す相手に応じて、言い方を使い分けることがあると思います。もちろん、この具体例においては、前者が家族や友人などに対して言う単なる普通の言い方であり、後者が見知らぬ人をはじめとして上記に挙げたような立場の高い偉い人や年齢の高い目上の人に対して使う尊敬語を用いた丁寧な言い方です。
「そこの本とってしてくれない?」
「そちらの本をとっていただけますか?」
日本語の尊敬語・謙譲語・丁寧語は、小学校において国語の授業の学習プログラムに含まれており、「食べる」が「召し上がる」(尊敬語)や「いただく」(謙譲語)といったように言葉そのものが変わったり、「食べます」(丁寧語)のように語尾がですます調になったりすることを覚えていることと思います。
英語の丁寧な表現
上記のように、おそらく数多くの人が日本語がもっとも丁寧な言語であると思っているのではないでしょうか。そして、英語においては、敬語はなく、立場や年齢などに関わらず、フランクでカジュアルなかんじであるとよく勘違いしている人が多いです。それは、外国人が日本人に比べて比較的ラフなことからイメージされていることなのかもしれませんし、そのことに関してはあながち間違いというわけでもありません。
しかし、そのイメージとは少し違っていて、その外国人も日本人と同じように、英語で敬語を話すことができるのです。たとえば、以下のような表現の違いに気がつくでしょうか?両方とも「本をとって!」という文意には変わりありませんが、丁寧さがまるで違うのです。前者が日本語でいう「その本をとって!」というもので、後者が日本語でいう「その本をとっていただけますか?」というものなのです。
“Pass me the book.”
“Could you please pass me the book?”
英語は、文章を長くしたり感情を込めたりすると丁寧になるといわれています。そのため、われわれ日本人がお願いするときに丁寧な言葉だと思っていた、“please”は実は使い方によっては失礼な言葉になってしまいます。たとえば、”Please wait.”などは意外と失礼な表現であり、”Could you please wait a moment here?”のようにいうことのほうがより丁寧な表現になります。
覚えておきたい丁寧な依頼表現
そのほか何かを依頼するときには、以下のような英語表現を覚えておきましょう。どれも外国人が良く使う表現です。口語でも文語でも両方使うことができます。“Would you mind … ?”は、最後に、”please”を加えるとより丁寧な表現になります。
しかし、外国人は、いつまでも尊敬語だと距離を置かれていると思うので、いきなりではアレなので、少しずつ噛み砕いたカジュアルな表現に変えていくのがベスト。日本語でも普段から丁寧な人であれば、それがその人のキャラなので、丁寧な表現のままでもいいと思います。
“Could you please … ?”
“Would you please … ?”
“Would you mind if … ?”
“Would you mind -ing … ?”
“I was wandering if …”